魚の締め方・血抜き・持ち帰り方と保存のコツ

魚の締め方・血抜き・持ち帰り方と保存のコツ

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釣った魚をおいしく安全に食べるには、釣り場での「締め方・血抜き」と、持ち帰ってからの「保存」の両方が関わってきます。この記事では、魚のサイズ別の締め方の使い分け、氷締め・血抜き・脳締め・神経締めのやり方、船や堤防でのマナー、クーラーボックスの使い方、家に帰ってからの冷蔵・冷凍の目安までをまとめました。特に生食にかかわる衛生面は、厚生労働省・農林水産省の情報をもとに安全側に書いています。

なぜ締めるのか・血を抜くのか

魚を締める(血抜き・氷締めなどで速やかに絶命させる)目的は、大きく分けて「鮮度を保つこと」と「持ち帰り・保存をしやすくすること」の2つです。魚は生きたまま暴れさせたり、ゆっくり弱らせたりすると余計なストレスがかかり、鮮度の低下につながるとされています。締めて死後硬直の進行を遅らせることで、旨味成分(ATPなど)の分解ペースを緩やかにできるという説明が一般的です(ふねまが)。また血液は体内に残ると生臭さや変色の原因になりやすいため、血抜きによって体外に出しておくと持ち帰り後の状態が安定しやすいといわれています(Greenfield)。いずれも「味が必ず良くなる」という保証ではなく、鮮度低下を遅らせるための一般的な手当てとして紹介されているものです。

魚のサイズ別・締め方の使い分け

サイズや魚種によって、無理なくできる締め方は変わります。以下はあくまで目安の使い分けで、船宿や地域のやり方に従うのが基本です。

サイズの目安 向く方法 必要な道具
小型(アジ・イワシなど) 氷締め 氷、海水(潮氷)、クーラーボックス
中型(サバ・タチウオ・メジナなど) 血抜き+氷締め ナイフまたはハサミ、バケツ、氷、クーラーボックス
大型(ブリ・ヒラメなど) 脳締め+血抜き+神経締め フィッシュピック(またはナイフ)、神経締めワイヤー、フィッシュグリップ、氷

小型魚は氷締めだけで手早く処理できる一方、中型以上は血抜きを行うと持ち帰り後の状態が安定しやすいとされています(Greenfield)。大型魚では脳締め・神経締めまで行うと死後硬直の進行を数時間以上遅らせられるという説明もあります(浜アングラー)

氷締めのやり方

氷締めは、氷と海水を混ぜた「潮氷(塩水氷)」に魚を生きたまま入れ、急激な低温でショック状態にして締める方法です。真水の氷だけより凍結温度が下がるため、全体をムラなく素早く冷やしやすいとされています(浜アングラー)

  1. クーラーボックスに氷(板氷・角氷)を入れる。
  2. 釣り場の海水を汲み、魚がひたひたに浸る程度まで加える。
  3. 魚を生きたまま入れ、しばらく浸けておく。

小型のアジ・イワシなどはこれだけで締まり、持ち帰りの準備も同時に整います。海水が汚れている場所では、身に匂いが移らないよう塩水(食塩水)を使う方法もあります(Greenfield)

血抜きのやり方

中型以上の魚では、氷締めの前後に血抜きを行います。手順の一例は次のとおりです。

  1. エラぶたを開き、エラの付け根(血合いの膜)にナイフやハサミを入れて切る。
  2. 大型魚の場合は尾の付け根も切り、末端側の血も抜けるようにする(Greenfield)
  3. 頭を下にして海水を張ったバケツやクーラーに入れる。
  4. 最短でも5〜10分ほど浸け置き、流れ出る水から血の色が消えたら完了の目安(ヤマハ発動機)

ナイフは切れ味が悪いと余計な力が入り、船体や自分の手を傷つけやすくなります。折りたたみ式で扱いやすいものを1本用意しておくと安心です。道具全体はタックルおすすめまとめも参考にしてください。

脳締め・神経締めのやり方

大型魚では、血抜きに加えて脳締め・神経締めまで行うことがあります。

脳締め

目の少し後ろ、目と背骨を結ぶ線の少し前あたりを狙い、フィッシュピック(またはナイフの先端)を垂直に刺し込んで脳を破壊する方法です(浜アングラー)。魚が一度大きく痙攣したあと体の力が抜ければ、成功の目安とされています。

神経締め

脳締めで開けた穴などから、専用のワイヤーを背骨に沿って尾の付け根まで通し、脊髄を破壊する方法です(浜アングラー)。死後硬直の進行を数時間以上遅らせられるとされていますが、魚体を強く固定する必要があるためフィッシュグリップがあると作業しやすくなります。刃物・ワイヤー類を扱う工程なので、船上では周囲や自分の手元に十分注意してください。

船の上・堤防でのマナー

「船釣り 血抜き マナー」で調べる方が多いテーマです。実際の遊漁船(船宿)の案内や取材記事をもとに、押さえておきたいポイントをまとめます。

  • 血抜きをしてよいか・どこでするかは船長に確認する。船によっては血抜きをする場所が決まっていたり、周辺にサメが多い時間帯・エリアでは血抜きを控えるよう案内されることがあります(fishbank)
  • 血抜きはバケツやクーラーの中で行い、船体を汚さない。ナイフで船体を傷つけないよう気をつけ、血やイカ墨が船体に付いたら固まる前にすぐ水で洗い流します(こうゆう丸 船釣りマナー)
  • ゴミは糸くず一本でも海に捨てず、必ず持ち帰る。多くの船宿が明記しているルールです(こうゆう丸 船釣りマナー)
  • 内臓を海(釣った場所の海域)へ戻すこと自体は、常識の範囲内であれば不法投棄や海洋汚染防止の法令には該当しないとされています。環境省・海上保安庁への取材で「海で取れたものを海に捨てることは不法投棄には該当しない」「個人が常識の範囲内で行っているなら取り締まることはない」という見解が示されています(TSURINEWS)。ただし堤防や港の地面、駐車場などの陸上に内臓を放置するのは別問題で、臭い・害虫・地域住民とのトラブルの原因になります。

堤防釣りでは足場が滑りやすい場所も多く、血抜き作業中の転落にも注意が必要です。ライフジャケットの選び方はライフジャケットのおすすめ記事も参考にしてください。

持ち帰り方とクーラーボックスの使い方

クーラーボックスの冷却力を比較検証した記事によると、氷だけより「海水(塩水)+氷」の組み合わせのほうが魚の温度低下が早い一方、氷が溶けるスピードも速くなる傾向があるとされています(TSURINEWS)。同じ記事では、氷に魚を直接触れさせ続けると冷やしすぎて凍ってしまい、これも味を落とす原因になると指摘されています。氷と魚の間にビニール袋や保冷剤を挟むなど、直接氷に当てすぎない工夫をするとよいでしょう。

氷の量は、釣行時間や外気温に応じて多めに用意し、途中で溶けて薄まった海水は適宜足したり入れ替えたりするのがおすすめです。長時間の釣行や真夏は、保冷剤を併用すると冷却力を補いやすくなります。

家に帰ってからの保存

生食にはアニサキスのリスクがあります

アニサキス(寄生虫)は魚介類の内臓に付いていることが多く、時間が経つと筋肉(食べる部分)へ移動することがあるため、内臓はできるだけ早く取り除くことが予防の基本とされています。厚生労働省によると、アニサキスは-20℃で24時間以上の冷凍、または中心温度60℃で1分以上(70℃なら瞬時)の加熱で死滅しますが、一般的な料理で使う程度の酢・塩漬け・しょうゆ・わさびでは死滅しません(厚生労働省)(農林水産省)。刺身にする際は目視でよく確認し、体調に不安がある場合や幼児・高齢者などは加熱を優先することをおすすめします。

冷蔵の目安

魚食普及を進める業界団体・大日本水産会の解説によると、水揚げ後ずっと0℃近くで管理されていれば、魚種やサイズによっては刺身用でも1〜2週間もつ場合があるとされる一方、自宅でさばいた刺身は状態次第でおおむね2〜3日程度が目安と説明されています(大日本水産会)。ただし家庭の冷蔵庫(チルド室ではない通常室)は0℃を維持し続けるのが難しいため、この数値をそのまま当てはめず、早めに調理するか、早めに冷凍するのが安全側の考え方です。持ち帰ったら内臓・エラを取り除いて血合いを洗い、水気をよく拭き取ってからラップで包み、冷蔵庫の低温室(チルド室など)で保管してください。

冷凍のやり方

冷凍する場合は、内臓・エラを外して血合いをよく洗い、水気を拭き取ってから1尾(または切り身)ずつラップでぴったり包み、さらに保存袋などで密閉して空気を抜くと、酸化や乾燥(冷凍焼け)を抑えやすくなります。アニサキス対策としての「-20℃で24時間以上」は、冷凍庫に入れてからの時間ではなく、魚の中心温度が-20℃に達してからの時間である点に注意が必要です。家庭用冷凍庫の設定温度はおおむね-18〜-20℃程度のため、庫内を満杯にする・開閉を減らす・「強」設定を使うといった工夫をすると、中心まで冷えやすくなるとされています(大日本水産会)。解凍は常温放置ではなく、冷蔵庫内でのゆっくり解凍か、流水を使った解凍が勧められています(大日本水産会)

やってはいけないこと

  • 内臓やゴミを堤防・港・駐車場などの陸上に放置しない。釣り場のゴミ放置は各地で問題になっており、放置が原因で釣り禁止になった場所もあります。ゴミは糸くず一本まで必ず持ち帰りましょう(福井県)
  • 船上では船長の指示より先に血抜き・内臓処理をしない。血抜きを禁止しているエリアや、サメを避けるためにタイミングを指定する船もあります(fishbank)
  • 生食で提供・保存する魚は、内臓を長時間つけたまま放置しない。アニサキスが筋肉側へ移動するリスクが高まります(農林水産省)
  • 冷凍・加熱をしていない魚介類を「これで安全」と断定しない。酢・塩・しょうゆ・わさびではアニサキスは死滅しません(厚生労働省)
  • リリースする魚を必要以上に地面へ置いたり、素手で長く握り続けたりしない。弱った状態で再放流すると、その後生き延びられない可能性が高くなります。

釣り場ごとの禁止事項・ローカルルールは釣り禁止・遊漁ルールまとめもあわせてご確認ください。

よくある質問

Q. 魚の締め方には、氷締め以外に何がありますか?

A. 氷締めのほか、血抜き、脳締め、神経締めがあります。小型魚は氷締めだけで十分とされることが多く、中型以上ではこれに血抜きを組み合わせ、大型魚では脳締め・神経締め・血抜きをまとめて行うのが一般的な使い分けです。詳しくは本記事「魚のサイズ別・締め方の使い分け」をご覧ください。

Q. アジの血抜きはやったほうがいいですか?

A. アジは小型であれば氷締めだけでも扱われますが、20cmを超えるような中型サイズになると血抜きを行ったほうが持ち帰り後の状態が安定しやすいとされています(Greenfield)。エラの付け根を切って海水に数分浸け、血の色が抜けたら完了の目安です。

Q. 釣った魚は冷凍庫と冷蔵庫、どちらで保存すればいいですか?

A. 当日〜翌日中に食べきれる見込みなら内臓を処理して冷蔵庫の低温室、それ以上先になりそうなら早めに冷凍するのが安全側の考え方です。特に刺身など生食にする場合は、内臓を早く取り除くことと、生食用には-20℃で24時間以上の冷凍または加熱で対応することが、厚生労働省・農林水産省の案内するアニサキス対策の基本です(厚生労働省)

Q. 船釣りで血抜きをするときのマナーで気をつけることは?

A. 血抜きをする場所やタイミングは船によってルールが異なるため、まず船長に確認しましょう。バケツやクーラーの中で行って船体を汚さない、血が付いたらすぐ洗い流す、ゴミ・内臓は指示に従って処理する、の3点が基本です(こうゆう丸 船釣りマナー)

出典一覧

関連ページ

この記事の情報は、各省庁・業界団体・釣り関連メディアの公開情報をもとに2026年7月時点で確認したものです。魚の締め方・血抜き・保存方法は釣り場や船宿の方針、魚種によって異なる場合があります。特に生食にはアニサキス等のリスクがあり、不安がある場合は加熱調理をおすすめします。当ページは法的助言・医学的助言ではありません。

船のアジ釣りの仕掛けは船のアジ釣り仕掛けで釣り方別に整理しています。